干し柿とは、柿の果実を乾燥させたドライフルーツです。
材料として主に、乾燥のしやすい小型のものを使用します。
そして生食に向かない“渋柿”を使います。
日本に柿が伝わったのが弥生時代といわれ、干し柿は平安時代の文献で927年に完成した『延喜式』に祭礼用の菓子として記載されているのが確認できます。
また鎌倉時代には自領の名産品として、織田信長がポルトガルの宣教師ルイス・フロイスへ送ったともされています。
歴史深い食べ物ですね。
干し柿は食物繊維が豊富でミネラルなども含まれており、中国では“柿餅(シヘイ)”と呼ばれ生薬にもされています。
柿は干すことによってビタミンAとβカロテンが増加し、血行促進や胃腸機能へいい効能があるそうです。
日本全国で作られている干し柿ですがシェアが高い名産地は長野県と福島県です。
さて上記で材料と説明しました渋柿とは、どのようなものなのでしょう?
〜本日の内容です〜
甘柿と渋柿の違いは?甘柿で干し柿は作れる?
柿には渋柿と呼ばれるものがあります。
生で食べたときに強い渋みや、苦みを感じるものです。
それとは反対に甘く美味しい柿ももちろんありますね。
ではこの違いはなんなのでしょう?
元々、品種には関係なく果実の熟し方の違いです。
柿にはタンニンと呼ばれる渋み成分が含まれています。
このタンニンは水溶性があり、私たちの口にはいると唾液によって溶解されて渋みを感じてしまうのです。
熟すことによってタンニンは不溶性に変わり甘柿と呼ばれるものになります。
見た目の違いは渋柿は先の尖った縦長な形をしており、甘柿は四角く重量感のある形をしてるので見分けられます。
あとは切ったときに断面に茶色い斑点があると甘柿です。
そして柿は乾燥することでタンニンがなくなり、本来の甘味が出てくるのです。
その糖度は砂糖の1.5倍ほどです。
甘柿を生で食べるよりも渋柿を干したほうが糖度が高く、干し柿には甘柿と異なる風味の甘さがあります。
では甘柿で干し柿を作ることはできるのでしょうか?
元々熟れている甘柿を干すと非常にカビやすく、完全に乾燥させてしまう前に腐ってしまうことのが多いようです。
なので甘柿を干す場合には5~7日の短期間でスライスして乾燥しやすく干す方法が取られます。
渋柿で干し柿を作るのに失敗しない時期はいつ頃?
干し柿を作る上で天敵は“カビ”です。
カビが発生しないためには、気温と湿度が低いことが条件です。
なので雨が少なく気温が低い冬は干し柿作りに適しているのです。
通常の干し柿は果実の皮を剥きヘタに紐をくくりつけ雨露に当たらない、風通しのいい場所に吊るします。
干しはじめて、2週間から1ヶ月程度で完成です。(乾き具合よって期間が違います。)
渋みが抜けるのが約2週間で、柔らかさの残る半生状態の干し柿を“あんぽ柿”とも呼びます。
室内でも干し柿は作ることができる?渋柿の場合は?
屋根などから吊るし屋外で作るイメージのある干し柿ですが、室内で作ることもできます。
室内で作る場合は、紐で吊るす代わりに串に刺しコンテナやバットを使ったり洗濯ばさみで吊るせる物干しも利用できます。
風通しの面では扇風機を利用するといいでしょう。
また部屋の中でも湿度が低く風通しのいい場所を選びましょう。
干し柿の保存方法は?
保存方法ですが、常温で2~3日で、冷凍すると半年から1年間ほどです。
カビに弱い干し柿ですので、常温保存の場合はビニール袋は使わず、キッチンペーパーで包み紙袋に入れて冷暗所に保管することが美味しい状態を保つために有効です。
冷凍の場合も同じくキッチンペーパーなどに包みジップロックなどのフリーザーバックで密封しましょう。
冷凍した場合に解凍するときは前日から冷蔵庫に移すか、電子レンジで約15秒ほど温めて解凍できます。
干し柿は食べすぎに弊害はある?
干し柿は炭水化物を含むため、カロリーも多めです。
大きさにもよりますが、1個あたり約140~160キロカロリーあります。
1日2個ほどで他の栄養素を含めて充分な摂取量と言えるでしょう。
またそれ以上の過剰摂取はタンニンやペクチンという成分によって腸のぜん動運動が弱まり便秘になったり、タンニンには鉄分の吸収を抑えてしまうので貧血を起こす原因になりかねないのです。
水分量が少ないので体を冷やさず内蔵を温めてくれますが、妊娠中の女性は要注意です。
糖質の高い食べ物でもあるので妊娠糖尿病への影響もあるでしょう。
どんなな方でも食べ過ぎはよくないですね。
干し柿を作るのに失敗しないために注意することは?
干し柿を作る上で重要な乾燥させるのを失敗しないためには、1週間ごとに果実を揉むことで均等に水分と渋みが抜けていきます。
失敗しないコツとして他には殺菌をすることです。
方法として、まず干す前に皮を剥いた状態で熱湯に10秒程つけるか、果実に焼酎をまぶす方法があります。
殺菌することでカビの発生を防げます。
干し柿をつくる専用の焼酎も販売されています。
干し柿のまわりには白い粉が付きますが、それは糖分が結晶化したもので甘く美味しい干し柿ができた証拠です。
成功すると乾燥が終わり完成したころに付きます。
しかし見た目はカビだと勘違いしやすいものだと思います。
カビの場合だと乾燥途中に白い綿のようなものがまとわりつき、なかには果実の表面が青色、緑色などに変色します。
このような場合は取り除いても美味しくなく、奥までカビの根が入り込んでいるので廃棄することが安全です。
よりカビから守るためには、柿同士が接しない、重ならないようにある程度の距離をあけて干すことが大切です。
さいごに
栄養満点な干し柿ですが、アレンジレシピもたくさん発案されてます。
甘味を生かしたお菓子だとマフィンやパウンドケーキに練り込んで。
ラム酒漬けにして風味を出したり、ジャムやペーストに加工するのも柿の風味と相性が良いみたいですね。
あとは羊羮など濃厚な甘味を堪能できるメニューもばっちりです。
料理には甘味をアクセントにつかって、なますやサラダに刻んで入れたり。
クリームチーズとの相性が良いみたいなので、生ハムとマリネにしたり、春巻きに入れて揚げたりなど、たくさんの活用法があります。
ぜひ検索してみるのもいいでしょう。
干し柿は田舎の自然の多い土地で作られるイメージがありましたが、室内で作れるので都心でも作れるのがわかりました。
栄養があり風邪にかかりやすい冬に作れるので健康維持のためにも、ぜひ活かしたいですね。
柿を手にする機会があれば、渋柿か甘柿か見分けて干し柿作ってみたいと思います!